某国立大学で博士号(理学)取得後、経営コンサルティング会社に就職。
それもつかの間、会社を退職し職のあてのないまま妻を追ってインドネシアへ。
私(saya)が体験したこと、思ったこと、新しく知ったこと等を気ままに書いていきます。

シンガポール&インドネシアのことが中心です。

Singapore Life

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2014年8月24日日曜日

シンガポールで行ってみた ~シンガポール唯一の温泉 Sembawang Hot Spring

今回は、シンガポールで唯一存在するというガイドブックにも載っていない秘境中の秘境の真っただ中にある温泉(Sembawang Hot Spring)について書いてみる。

そもそも、会社の人から聞くまでシンガポールに温泉があるなんで思いもよらなかったし、知っている人なんて現地人でもそんなにいるとは思えない。
シンガポールなんて行くとこあんまりないし、話のネタとして行く人は多いみたいで、「シンガポール 温泉」で検索するといくつかブログも見つかる。

場所は、シンガポール北部に位置し、最寄MRT駅は赤いNorth South線のYishunNS13)。Cityエリアからは外れるが、HDBも多く人も多い住宅地といった感じだろうか。駅前にはショッピングモールもある。


一応、Google Mapでも名前は出てくる。


駅からは歩いて2km30分前後。駅前で858番のバスに乗っても行けるらしい。(こちらのブログ参照)。僕は歩くのが好きなので、歩いて行くことにした。下が、歩いた経路。



駅の改札を出たら右へ行き、最初の道路(Yishun Avenue 5)を左へ。
ここから15分くらい行くと、T字路にぶつかるので右折。
ちなみに、Yishun Avenue5のつきあたりにあるのが、Chong Pang Campという空軍の施設で、温泉もこの中にある。もちろんこの入口からは入れない。

右折後は、このキャンプを左手にSembawang Roadを北上。Gambas Avenueとの交差点で左折。
少し行くと、下の写真のような赤い看板が2枚掲げられている入り口がある。
ここを入り、少し歩くと温泉までいける。

入口の看板。
OPEN HOUR7:00 – 19:00

こんな感じの通路。


これまでもったいぶってしまったが、温泉といっても日本のように湯船につかれるわけではない。下の写真のように蛇口からお湯が出ているだけである。僕が行ったときは、10人くらいがいて、半分くらいは観光(といってもシンガポーリアンっぽかった。)、残りは業者らしき人、水着でお湯を浴びている地元のおっさん。他にも、入口ですれ違った母親達とその子供たちの集団、2Lくらいのボトルを持って帰るインド系の住民らしき人も。

とても暑くて直接触れない。
ちゃんと硫黄臭がした。
業者らしき人は、このお湯を何に使うのだろうか。

実はこんなに小さい。
バスケコート2つ分くらいだろうか。
レンガの建物の中には湯船があるみたい
(中の写真はこちらのブログ参照)。


下は入口にある石碑の写真。
意外だったのが、あのF&N(シンガポール最大の飲料・不動産メーカーで首相の弟が会長を務めていたが、2013年タイのTCCグループに買収された。)がこの水を売ってたこともあるみたい。
以下、石碑の内容。
1908128日のThe Straits Timesによると、この温泉は、W.A.B. Goodallという地方の森林警備隊(Municipal rangerによって発見された。これがシンガポール唯一の温泉であり、発見後、当地は中華系商人のSeah Eng Keong1873-)がこの地を所有。
Seah Eng Keongはこの温泉を利用してビジネスができるのではないかと考え、温泉水をヨーロッパへ分析を依頼。結果、飲用できることが分かり販売のためにSingapore Natural Mineral Hot Springs Companyを設立(のちにSingapore Hot Springs Limitedと名前を変更)。1909年にはボトリングの工場を設立し、のちに“Zombun”の名で売られる。一方で、“Seletar Hot Springs”の名で、温泉としても観光名所にする計画がなされる。
1921年、F&Nは会社を買収。製品開発を進め、“Zom”、“Vichy Water”などの商品を販売。生産性の向上のため、1933年に最新鋭の工場を設立。
1942年~1945年の日本統治時代は、日本人用の温泉が作られる。1944年、連合国軍の落とした爆弾により温泉は破壊される。1960年代にまた湯量が回復。1967年、F&Nが新しいボトリング工場を建設、子会社のSemangat Ayer Limitedが運営。スパの建設も計画されたが、実現はされず。
1985年、政府が軍の利用を目的に当地を買収。2002年にコンクリート、蛇口を敷設。 

最後に、ちょっと気になったことを書いてみる。
温泉があるということは、地下水を温めるマグマ、すなわち火山が近くに存在することだと理解している。シンガポール周辺に火山はあるのだろうか。また、その火山は地震を引き起こさないのだろうか。インドネシアはしょっちゅう地震が起きているが、シンガポールは地震が起こらないと良く言われる。
が、その話は大いに疑問が残る。
ラッフルズがシンガポールに上陸した1819年、島には150人ほどの住民しかいなかった。つまり、長く見積もっても記録が残されているのはせいぜい200年程度であり、これまでの200年間に地震がなかったからといって、これからも起きない理由にはならないだろう。ドイツでは、500年周期で起こっている大地震もあるらしいし。
シンガポールでは、最近日本の大手ゼネコンも大型案件を受注しているが、どれほど耐震能力があるのか。ちょっと、心配になる時がある。

ちょっと脱線してしまったが、別に温泉に入れるわけじゃないし、シンガポールで行くとこなくなって暇で暇で死にそうだったらちょっとは行ってみてもいいかな、レベルの場所。
話のネタに興味ある人は是非。